研究概要 |
「3次元多様体の幾何構造」 本研究は,開始時に平成7年10月ら分担者吉田の都立大学から名古屋大学への移動が決まっていたため,申請時に企画した研究集会開催をとりやめ,後期に頻繁に相互研究連絡を行うことにより,そもそもの目的であった代表者と分担者による有機的な相互研究協力体制を作った.この体制により日常的に討論を行うことが可能になり,相互啓発がすすみ,3次元多様体の研究に関する以下の進展を得た. 3次元多様体上に幾何構造を構成しようとする場合,すでに存在している構造を変形させて得る方法が考えられる.そのためにはDehn手術理論を大域化するのが自然であり,さらに構造変形が基本群の表現の変形と対応することを示す剛体性の研究が重要になる.代表者は,3次元双極錐多様体について,局所剛性体からある錐角条件のもとで大域剛性体が得られることを見いだした. 一方3次元多様体のHeegaard分解に随伴する基本群の表現の空間は,斜行幾何構造とLagrangian部分多様体を自然にもち,Floerが定義したホモロジーを対応させることができる.このホモロジーは,やはりFloerが3次元多様体にゲージ理論を経由して定義したInstantonホモロジーと本質的に一致していることが予想されていたが.分担者は,この極めて深い命題をほぼ証明した.
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