研究課題/領域番号 |
07210231
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
出口 哲生 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (70227544)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 結び目・絡み目 / 結び目不変量 / 絡み合い効果 / ランダムポリゴン / 高分子 / 臨界指数 / 自己排除的酔歩 / 可解格子模型 |
研究概要 |
高分子の統計力学において、長い高分子鎖が互いに絡み合うことにより生ずる「絡み合い効果」は重要である一方その取り扱いが非常に難しいことが知られている。本研究の一つの眼目は、最近の数理物理学の発展の中で発見された新しい絡み目不変量を応用することにより、環状高分子の絡み合い効果を数値実験により非常に詳しく研究できることを実証することである。環状高分子の絡み合い効果はその結び目型を特定することによって厳密に評価できる。我々はまず、環状高分子のエントロピーにおける絡み合い効果のサイズ依存性(重合度依存性)を精密に表す近似式を発見した。近似式のパラメターの普遍性を排除体積パラメターを変化させて調べた結果、式中の「スケーリング」指数は高分子の模型を取り替えてもあまり変化しないことがかなり高い精度で明らかになりつつある。これは絡み合い効果のユニバーサリテイを示唆する。 さらに、θ温度における環状高分子溶液の浸透圧のビリアル展開の第2係数に対する絡み合い効果の影響を絡み目不変量を用い数値実験で調べた。その結果、以前に実験で求められていた数値と非常に良く適合することが分かった。さらに、環状高分子同士の絡み合い確率のサイズ依存性を表す近似式を提案して数値実験結果と比較した結果、良く適合することが分かった。その後、物理的な仮定を用いてこれらの近似式を解析的に導くことができた。 以上の諸結果は高分子統計力学における絡み合い効果の基礎となり、これらを拡張していくと近い将来、ゴム弾性論などの高分子ネットワークにおける絡み合い効果への応用など、物性基礎論の広い範囲に適用可能であろうと期待される。
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