研究課題/領域番号 |
07211205
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 裕子 (永原 裕子) 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80172550)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1995年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 蒸発 / 珪酸塩メルト / 蒸発速度 / 結晶化作用 / 拡散 / 希土類元素 |
研究概要 |
真空中あるいは水素や不活性ガス中でのメルトからの元素の蒸発速度はメルト中での元素の拡散に律速されており、それを用いて逆に蒸発速度からメルト中の元素の拡散速度を求めることを試みた。本研究の最終的な目的である微量成分、特に希土類元素の蒸発速度の測定の準備として、単純系における主要元素の蒸発分別を実験的に検討した。系は固体惑星、地球にとって最も重要であり、基本となるMgO‐SiO2系で、Mg/Si比の異なる4種類の化学組成の出発物質を用いた。実験は真空中で、1600または1700℃で、数分から1日の範囲でおこなった。試料を球に近似して蒸発速度を求めると、加熱時間が短い間は出発物質により速度が異なるが、一定の時間を経過すると、すべての試料が同一の蒸発速度をもつようになり、定常状態に達する。この蒸発速度は固体のフォルステライトおよびSiO2に比べて大きい。温度が100度異なることによって、蒸発速度はおよそ1桁異なる。残さの組織、化学組成、鉱物種を調べた結果、この系は実験条件下でMgにくらべSiがより速い速度で蒸発し、残さは時間とともにMgに富むようになる。系の化学組成が変化するため、等温であるにもかかわらず、フォルステライトが結晶化する。蒸発速度が一定になる条件はすなわち残さの化学組成が一定になる条件で、ここではフォルステライトと粒間のメルトの蒸発速度が釣り合っていることがわかる。実験条件の範囲内では残さは出発物質、温度とは無関係に一定の組成をもつ。これらの変化は温度一定における圧力一組成の相図を作製することでよく理解できる。蒸発による定温結晶化作用は従来まったく研究されてこなかった分野であり、惑星科学に新たな視点をもたらすものである。微量成分に関する実験は進行中である。
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