研究概要 |
10〜18GPaの圧力において、magnesiowustite、majorite、merwinite、Ca-perovskiteなどの鉱物と珪酸塩メルト間の元素の分配係数の測定を行った。本研究では、高圧高温下で試料を30分間保持した後、急冷して減圧し、試料を取り出した。回収した試料はEPMAを用いて元素分析を行い、分配係数を求めた。本研究では、各試料ごとに100〜200点の測定を行い、これを解析することにより分配係数を求めた。 測定の結果、magnesiowustiteではイオン半径で70pm付近で分配係数が最大となるパターンが得られ、昨年度の研究で得られたカンラン石の結果と類似していた。これはmagnesiowustiteもカンラン石と同様に、6配位の位置にイオンは入る構造を持っている事に、関連していると考えられる。majoriteは、4,6,8配位の位置があるため複雑な分配係数のパターンを示すが、90pm以上の大きなイオンでは、分配係数が小さくなる結果が得られた。一方、merwiniteとCa-perovskiteでは、70〜80pmで分配係数が最小となり、90〜100pmで最大となるパターンが得られた。下部マントルの構成鉱物の一つであるCa-perovskiteでこのような結果が得られたという事は、90pm以上の大きなイオン半径を持つ元素は、下部マントル中ではCa-perovskite中に存在している可能性が高いことを示している。
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