研究概要 |
トリプタミン誘導体の不斉Pictet-Spengler反応について筆者らは既に不斉補助基を有するトリプタミンとアルデヒドより生成するイミニウム塩、イミンとキラルルイス酸から得られるイミニウム塩の分子内アルキル化反応について検討した。、今回ヒドロキシトリプタミンとベンツアルデヒドより容易に合成できるニトロン1とキラルルイス酸によって発生すると予想されるニトロニウム塩の不斉環化反応について検討したところ、高収率且つ最高88%eeのエナンチオ選択性で、1-置換-1,2,3,4-テトラヒドロ-β-カルボリンが得られることが明らかとなった。 ヒドロキシトリプタミンのエナンチオ選択的Pictet-Spengler反応 ニトロン1を(+)-B-クロロジイソピノカンフェイルボラン[(+)-Ipc_2BC1]と室温で反応させると、高収率で反応が進行し2-ヒドロキシ-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロ-β-カルボリン2が得られ不斉誘導(25%ee)が見られたので、ニトロン1の(+)-Ipc_2BC1による環化反応に及ぼす溶媒効果を-78℃で検討した所、CH_2C1_2が最も適した溶媒であった。そこでこの反応に及ぼす温度効果をCH_2C1_2溶媒中で検討した所、0℃では2の化学収率97%(不斉収率48%ee)、-20℃では95%(58%ee)、-48℃では〜100%(84%ee)、-78℃では92%(75%ee)となった。更にジクロロメタン中、-98℃で行なえば63%ながら光学純度は最高88%eeまで向上することがわかった。一方、N-イソブチリデントリプタミンN-オキシドを同様に-78℃で(+)-Ipc_2BC1と反応させると2-ヒドロキシ-1-イソブチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-β-カルボリンが75%、35%ee(S)で得られた。次にこの反応に及ぼす(+)-Ipc_2BXのXの影響を検討するために、(+)-Ipc_2BBr、(+)-Ipc_2BOTfを用いたが不斉誘導はそれぞれ67%ee、55%eeとなり向上は見られなかった。得られたヒドロキシアミンはAcOH中でZn還元すると、1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロ-β-カルボリンに還元された。
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