研究課題/領域番号 |
07214231
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
井上 祥平 東京理科大学, 工学部, 教授 (20010762)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 不斉 / ポルフィリン / アミノ酸 / ポリペプチド / 不斉合成 / 不斉認識 / マイケル付加反応 |
研究概要 |
ポルフィリンは骨格上の置換基の配列が特定の条件を満たすとエナンチオトピック(プロキラル)となる。この点に着目し、我々はプロキラルなポルフィリンから分子不斉ポルフィリンを合成するルートを初めて開拓し、以来様々な分子不斉ポルフィリンの設計と特異機能の開発に成功している。本年度は、ポルフィリンの片面にストラップを、反対側の面にN-置換基を導入した分子不斉ポルフィリンを設計し、1)その亜鉛錯体による高分子の高次の不斉構造の識別、2)フリーベースを触媒とする不斉反応の開発への展開を図った。 1)分子不斉N-置換ストラップポルフィリン亜鉛錯体は含水メタノールなどの溶媒中で、ポリグルタミン酸により捕捉され、複合体を形成して沈澱を与える。そこで、酸性条件下で右巻きα-ヘリックス構造を取るPLGAとラセミ体の亜鉛錯体との相互作用を検討したところ、S体の錯体が優先的に捕捉されるという興味深い現象を見いだした。これとは対照的に、ランダムコイル状態にあるポリペプチド鎖、あるいはモノメリックなグルタミン酸誘導体を用いた場合には、溶媒の種類や組成に関係なく不斉選択性がほとんど見られず、ポリペプチド鎖中のアミノ酸ユニットの不斉炭素のキラリティーではなく、ペプチド鎖がとるらせん構造の向きによって不斉識別が起こることが明らかとなった。 2)N-メチルポルフィリンのフリーベースは一般に高い塩基性を有することが知られている。この点に着目し、キラルなフリーベースを触媒とする環状エノンへのチオールのマイケル付加反応を試みたところ、最高58%の不斉収率で相当するマイケル付加物が得られた。ストラップやアミド基を持たない触媒を用いた対照実験から、基質であるエノンはストラップのアミド基との水素結合により、ストラップ内に取り込まれ、その結果、反応が不斉選択的に進行することが明らかとなった。
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