研究課題/領域番号 |
07214235
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
竜田 邦明 早稲田大学, 理工学研究科, 教授 (40051627)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | テトラサイクリン / マイケル付加 / キラル補助基 / 糖質 / 〔3+2〕環状付加 / Diels-Alder反応 / 抗生物質 |
研究概要 |
テトラサイクリン系抗生物質は、四大抗生物質の一つとして広く実用され、有機合成化学的にも、数グループがその全合成に成功している。しかし、それらの全合成はすべてラセミ体の合成であり、天然型光学活性体の全合成は、形式全合成を含めて未だに報告されていない。そこで、本研究の主目的は、代表物質であるテトラサイクリンの光学活性体の不斉全合成のための方法論の開発にあり、三つの経路により全合成を試みた。プラン1においては、A環に相当するユニットがすべての炭素原子上に置換基を有するので、D-マンノースから導かれるニトリルオキシドのオレフィンとの分子内[3+2]環状付加反応を経て、まず、A環を合成した。プラン2において、D-グルコサミン誘導体から得られるオレフィン体をシクロヘキセノン誘導体に導いて後、シリルオキシブタジエンをDiels-Alder反応させて、AB環ユニットを得た。これにイソベンゾフラノンを反応させ、テトラサイクリン誘導体を立体特異的に得た。これは、容易に脱水されて、テトラサイクリン前駆体に導かれた。プラン3においては、BCD環ユニットのB環部分にキラル補助基をもつニトロ酢酸誘導体をMichael付加させ、エナンチオおよびジアステレオ選択的にA環部分を構築して、前駆体を不斉合成した。すなわち、BCD環ユニットにニトロ酢酸の種々の光学活性誘導体を種々の光学活性アミンの存在下、Michael付加させた結果、ニトロ酢酸の(+)-8-フェニルメントールエステルが反応後、三級水酸基の脱水、ニトロ基の還元およびフタリミド化により、天然型の絶対配置をもつ主生成物を与えた。その酸クロリドにマロンアミドエステルを反応させ、Dieckmann反応後、さらに、脱保護およびN-ジメチル化を経て、テトラサイクリン前駆体に導いた。これは、天然テトラサイクリンから導かれたジアステレオマ-混合物と一致した。以上の結果、テトラサイクリン類の光学活性体の全合成に対し一つの方策と可能性を示すことができた。
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