研究課題/領域番号 |
07215217
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
松永 是 東京農工大学, 工学部, 教授 (10134834)
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研究分担者 |
中村 徳幸 東京農工大学, 工学部, 講師 (20198229)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1995年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 細胞制御 / 電極 / バインダー樹脂 / 電位印加 / 殺菌 |
研究概要 |
本研究は細胞を効果的に殺菌可能な材料の設計を目的として、本年度はバインダー樹脂にグラファイトを導電材として添加、塗膜形成することにより導電性樹脂を作製し、電極材料として評価を行った。海洋細菌Vibrioalginolyticusを試験菌体として用い、電極に付着した菌体に定電位1.2V(vs.SCE、以後省略)、30分間印加後の殺菌率を求めた。この結果より、グラファイト含量が高くなるほど殺菌率は上昇し、40%以上のグラファイト含量において殺菌率が85%以上となることが示された。また、殺菌特性はウレタン、フッ素、アクリル等、どのバインダー樹脂を用いても同等であり、殺菌効果が確認された電極の比抵抗値は10^2Ω/cmのオーダーであることが確認された。そこで50%のグラファイト含量において作製したウレタン樹脂電極を用い、微生物の電気化学的制御について検討した。菌体懸濁液(1.0×10^<10> cells/ml)中でサイクリックボルタンメトリーを行った結果、0.8Vにおいて不可逆な酸化ピークが得られた。また、定電位30分間印加後の付着菌体の殺菌率を蛍光色素DAPI(4.6-diamidino-2-phenylindole dihydrochloride)およびPI(propidium iodide)を用いた直接蛍光顕微鏡観察により求めたところ、0.8V以上の電位において殺菌率に減少が見られ、特に1.2Vでは殺菌率が100%となった。さらに、負電位を印加することによって静電的作用により電極に吸着した菌体の脱離について検討した。この結果、0.4Vを15分間印加することにより約50%の菌体を脱離できることが示された。また、1.8Vを印加した場合においても1分間で40%の菌体脱離が可能であった。1.8Vを印加後の電極を走査型電子顕微鏡により観察したところ、細胞の形態変化が認められた。そこで、V.alginolyticus菌体懸濁液中に電極を浸潰し1.2V、-0.4V、1.8Vを交互に印加したところ、電極に付着した菌体数は浸潰12時間後においても浸潰3時間のレベルに抑制された。また、このとき電位印加に伴う海水のpH変化や塩素発生は検出限界以下であった。 以上のことから、微生物の堆積を電気化学的に制御可能なことが示された。この方法は、細胞の電極反応によるものであり、有機スズ化合物や塩素などの化学物質を用いる従来法と比較して、環境に対する安全性の高い方法であると考えられる。
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