研究概要 |
本研究では、接触法を用いた貴金属上への顔料の薄膜化について検討した。さらに、薄膜の機械的な強度を増すため、顔料とポリマーまたはニッケルとの複合化を行った。 (1)接触めっきによる顔料薄膜の作成 白金をアルミニウムと接触させ、両者を実際、1mM AZPEG、0.1M HCl、10mMβ型銅フタロシアニン(β-CuPc)分散液に浸せきしたところ、白金板上に透明な青色の薄膜が生成した。同様に、銀、ステンレススチール、ITO上に、約20種の顔料の薄膜が生成した。また、薄膜の生成速度は電解したときと同じであった。 ジアントラキノニルレッドの薄膜のSEM写真より、薄膜は微粒子から構成されており、均一な膜厚を有していた。また、薄膜の化学組成は、β-CuPc薄膜の場合、β-CuPcが97%、界面活性剤が3%であった。これら膜中の界面活性剤は有機溶剤抽出により1%以下になった。 (2)顔料薄膜の複合化 β-CuPcとポリスチレンのラテックスとを1mM AZPEG, 0.1M HClの水溶液に分散し、同様にITO上に複合膜を作成し、これを130℃,30分加熱したところ、機械的に安定なものが得られた。また、Ni板上にβ-CuPc薄膜を作成し、さらに、Niをめっきしたところ、やはり、安定なものが得られた。 以上のように、アゾベンゼン修飾界面活性剤のスイッチ機能を利用することにより、広範囲の有機化合物を貴金属上に容易に薄膜化できた。また、ポリマーや金属との複合化により、機械的にも強い薄膜が得られることが明らかとなった。
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