研究概要 |
各種置換基を持つアセナフトピロールを、各種置換ニトロアセナフチレンとイソニトリルとの反応によって合成した。そして、それらをサイクリックボルンメトリー法により酸化電位を測定し、モノマーおよびポリマーの酸化電位を見積もった。これらの値は、アセナフテン環上の置換基の影響を受け大きく変化した。このように、置換基の電子効果によりポリピロールの電子状態のコントロールが可能となった。電解酸化によって得られた5,6-ジヘキシルアセナフトポリピロールのUV-vis吸収スペクトルの測定を行ったところ、吸収波長は482nmにありその吸収末端は620nmに及んでいる。そのことからこのポリピロールのバンドギャップは、2eVと見積ることができた。そしてその中性ポリピロールの蛍光を測定したところ563nmに発光が見られ、発光素子として使用が可能と考えられる。アルキル基を導入したアセナフトピロールのポリマーは、各種有機溶媒に可溶であるため、GPCにより分子量の決定を行ったところ、分子量M_W=13,500であった。また各種置換ポリピロールを四端子法により電導度測定を行ったところ、電気伝導度は10^<-1>〜1Scm^<-1>で、置換基を変化させても、それらの電気伝導度は変化しなかった。このように縮環型ポリピロールへ各種置換基を導入することで導電性ポリピロールの機能制御の新しい方法が可能となった。
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