研究概要 |
(1)ストロンチウムフェライト(SrFe_<12>O_<19>)にH_2還元により酸素欠乏格子を生起させると酸素欠乏による特異的な酸素引き抜き反応が起こることを利用し,内径2.5cm,高さ52cmの鋼鉄製円筒からなる気固系流通反応装置に有機溶媒蒸気の供給を可能にした実験装置を作製した。ストロンチウムフェライトを粉砕して250〜350μmに分級したもの100gを充填し,酸素欠陥ストロンチウムフェライトによる気相酸素引き抜き反応の研究実験を行った。 (2)反応温度,反応ガス混合比,流量などの操作因子を変えながら,基本的な含酸素有機化合物(メタノール,エタノール,アセトアルデヒド,酢酸,ジエチルエーテルなど)を300℃付近で流通反応装置に導入し,酸素引き抜き反応生成物をテドラ-バックにサンプリングし,TCDガスクロマトグラフにより分析した。 (3)電子移動反応場の設計と制御の関点から気固系流通反応について実験的に研究し,含酸素無機化合物での知見を基に,鉄系触媒を用いるFischer-Tropsch法とのアナロジーから超活性反応プロセスの分子化学工学的解析を試みた。その結果,酸素欠乏フェライトに300℃以上でCO_2を作用させた場合に起こる酸素引き抜き反応(反応効率90%以上)と同様に,H_2O(反応効率約10%),アルコール,アルデヒド,ケトン,有機酸などの酸素欠陥格子による特異的な酸素引き抜きの超活性反応の反応特性について,反応速度論的な解析が可能であった。 (4)反応解析は主にArrheniusプロットによった。例えば,メタノール(CH_3OH)の酸素引き抜き反応では1秒以内の短時間気固接触で,約1%の反応効率でメタンとエタンが生成したことから,この超活性反応はラジカル反応によることが明らかになった。
|