研究概要 |
テルル原子を含む環状ポリカルコゲニドがベンゼン環に接合した化合物の合成とその化学的性質の解明を目的として、次のような計画に従って研究を遂行した。 1.2,2-ジクロロ-1,3,2-ベンゾジカルコゲナテルロールの構造 2.2,2-ジクロロ-1,3,2-ベンゾジカルコゲナテルロールの反応 これらの研究の結果、テルル原子を含むベンゾトリカルコゲノールの4-位すなわちトリカルコゲノール環に隣接する4-位にtert-ブチルジメチルシリル、トリフルオロメチルを有するトリカルコゲノール類、さらには、4-位及び7-位にメトキシ基を有する新規なトリカルコゲノール類の合成に成功し、^<125>Te-NMRによりその構造解析を行い、テルルの化学シフトに関する重要なデータを得ることができた。硫黄やセレンと共にベンゾトリカルコゲノールにテルルが含まれる化合物はこれまで合成例がないので本研究結果は、はじめての研究成果であり、今後多くのヘテロ原子化学者に有益な情報を提供する事になる。現在、2-位のクロロ置換基を種々の還元剤を用いて還元する試みを実施している。
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