研究課題/領域番号 |
07217208
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
平岡 賢三 山梨大学, 工学部, 教授 (80107218)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1995年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | トンネル反応 / 極薄膜固体 / 星間塵 / 化学進化 |
研究概要 |
星間空間における化学進化において、極低温化学反応、特にトンネル反応が重要な役割を果すという仮説が提案されているが、いまだに実験的に検証されていない。本研究は、原子のなかで最も大きなドブロイ波長をもつ水素原子が関与する極低温化学反応を詳細に検討したものである。10Kにおいて、プラズマによって生成した水素原子と10-50分子層の飽和、不飽和炭化水素極薄膜を反応させたところ、数秒という時間スケールにおいて、トンネル化学反応により、水素引き抜き反応及び水添反応が起こることが確認された。また、イソプロパノールやアセトンにおいても同様の低温トンネル化学反応が観測された。水素原子を反応系とする化学反応では、水素付加反応が水素原子引き抜き反応に比べてはるかに発熱であるにも拘らず、水素引き抜き反応が優勢に起こることが分かった。また、低温トンネル反応はきわめて選択性が高いことも明かとなった。これらの結果は、星間塵が水素分子生成の反応場であるというこれまでの仮説を検証するものである。水添反応及び付加反応の膜厚及び反応時間依存性を詳細に検討した。膜厚の増加で収率は急減した。また、反応時間の増加で、反応収率は時間に依存しなくなった。これより、炭化水素試料においては、水素原子は膜中を長距離拡散せず、反応は薄膜表面近傍で起こっている可能性が高いことが分かった。水素原子はCOマトリックス中を長距離拡散するので、水素原子の拡散能は媒質に大きく依存することが分かった。今後の課題としては、新機能性物質の合成や、同位体効果の検討を詳細に行う必要がある。
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