研究課題/領域番号 |
07217210
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宮崎 哲郎 名古屋大学, 工学部, 助教授 (90023126)
|
研究期間 (年度) |
1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1995年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | 極低温 / 固体水素 / 量子固体 / パラ水素 / ESR / 高分解能ESR / 水素分子アニオン |
研究概要 |
極低温における固体水素は量子固体と呼ばれ、p-H_2は回転量子状態(J)がJ=0であり核スピンが0である。p-H_2の核磁気モーメントが零であるために、ラジカルの電子と周囲のp-H_2分子とのsuperhyperfine相互作用が消滅し、ESRの線幅が液体中のように狭くなり、極低温において高感度・高分解能ESR測定が可能になる。また、極低温固体であるため不安定な反応活性種を捕捉し、観測することが出来る。 固体p-H_2をγ線照射すると、12.4G離れた2本線および407G離れた2本線が観測された。これらは、p-H_2の放射線照射で生成した電子がH_2に付着し生成したH_2^-アニオンによるものと同定された。このH_2^-アニオンはp-H_2^-(〜30%)とo-H_2^-(〜70%)との混合物である。H_2^-アニオンを明確に観測した初めての例である。さらに、このアニオンは徐々に減衰するが、p-H_2^-の方がo-H_2^-よりも減衰速度が若干速い。これはp-H_2^-からo-H_2^-への転化が起こっているためである。分子の場合、p-H_2(J=0)→o-H_2(J=1)への転化が極低温では起こり得ないが、アニオンの場合、p-H_2^-→o-H_2^-への転化が起こる。この理由として、水素核の波動関数から考えると、アニオンになると分子の場合とは異なり、p-H_2^-はJ=1、o-H_2^-はJ=0となる。従つて、p-H_2^-(J=1)からo-H_2^-(J=0)への転化が可能になる。これは化学反応に対する核スピンの効果であり、新しい量子効果であると言える。
|