研究概要 |
反応性シランプラズマ中におけるシリコン微粒子の発生,成長,結合,輸送,消滅などの機構をラジカルや負イオンとの関連を通して調べた.さらに電界に垂直なクロスフィールド磁界の印加によるE×Bドリフトがシリコン微粒子の空間分布に及ぼす影響を定量的に診断することにより,シリコン微粒子の動的制御を試みた.その結果を要約すると以下のようになる. 1.微粒子が存在する磁化プラズマ中の空間電位分布をエミッシブプローブにより初めて測定した.その結果微粒子が存在する領域の空間電位が存在しない領域よりも高いことがわかり,電界の方向が微粒子のない純Arプラズマと反対になっていることが明らかになった.その理由としては負イオンの形成が考えられる.すなわち,純アルゴン中では拡散の早い電子を閉じ込めるように電位分布が形成されるが,重い負イオンが存在するプラズマでは,逆に正イオンを閉じ込めるように電位分布が形成されるため,負に帯電した微粒子が存在する領域の電位がその周囲の電位より高くなる. 2.シリコン微粒子分布の時間変化の各種パラメータ依存性の計測および・シリコン微粒子成長および減衰の周期と各種制御パラメータ依存性の計測を行い,放電電流の時間変化との比較を行った.その結果,核形成期,微粒子成長期,成長飽和期における放電電流の変化との比較から微粒子成長の初期過程を考察した. 3.同一周波数の低周波変調電磁界下で微粒子の輸送を実験的に調べた結果,常に一定の方向のE×Bドリフトにより数nmの微粒子が放電空間から効率的に排除されることが確かめられた. 4.シリコン微粒子に働く力を総合的に考慮した流体方程式により,負電子,正イオン,帯電微粒子のドリフト速度を計算した.このモデリングにおいて上記1〜3の測定データを反映させることができた.
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