研究概要 |
Fe(CO)_5の193nm光解離による生成可能なFe(CO)_x(x=1,2,3,4)を分子線中で赤外半導体レーザー分光装置を用いて、その赤外吸収スプクトルの測定を試みた。1920cm^<-1>にFe(CO)_2と思われる弱い吸収スペクトルが測定されたが、強い赤外発光が同時に観測されたためFe(CO)_2の帰属を確認できなかった。 分子線条件下でFe(CO)_5、W(CO)_6およびアルデヒド化合物で測定された赤外発光の減衰時間は数μ秒から数十μ秒であり、この減衰時間と分子線中の反射鏡の軸外しの結果から測定された赤外発光は誘導放出によるものと考えられる。Fe(CO)_5とW(CO)_6で193nm光照射により1850-2270cm^<-1>領域にCO分子によると思われる赤外発光を測定することができた。Fe(CO)_5とW(CO)_6で同じように高い振動励起状態のCOが生成されており、このことは直接あるいは前期解離のモデルより、準安定な活性錯合体を経由するIVR機構による解離が妥当であると考えらる。また、Fe(CO)_5では減衰時間の速い発光は多光子吸収過程であり、遅い発光は一光子吸収過程であることが明らかとなり、異なる解離機構が示唆された。
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