本研究では、対話からの知識獲得の枠組を評価する例題として、対話リ-グ戦を選び、これに出場する対話システムを作成した。 対話リ-グ戦は、自然言語処理システムの総合的能力を客観的に評価する方法として提案された対話システムのコンテストである。対話リ-グ戦では、対話を介して相手から必要な知識を得、その情報に利用して問題を解く必要があるため、対話参加者の対話時における知識状態の動的な変化を明解に扱う必要がある。 我々が提案する対話からの知識獲得の枠組は、発話理解=情報統合という考えに基づいており、対話参加者の知識状態の動的な変化をうまく扱うことができる。すなわち、 1.相手の発話から、自分の知識状態を変更する。 2.相手の発話から得られる知識は、そのときの自分の知識状態に依存する。 3.相手の発話とそのときの自分の知識状態のインタラクションから、応答が生成される。 作成した対話システムにおいては、3つの基本的な対話戦略に基づき、知識を効率良く交換できる2つのプロトコルと対話を短くする5つの工夫を組み込んだ。この結果、非常に短い対話量で対話リ-グ戦の課題を達成できるシステムとなった。
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