研究概要 |
自然言語処理と図形処理を統合化し,教師との対話を参照しながら小学校1年算数のドリルテキストの意味理解と問題解決を行うシステムの実現を目指している。本年度は以下の研究課題に取り組んだ。 1.ドリルテキストの意味理解サブシステムの実現 テキストの問題文を文字列,文節系列,構文木を経て格構造に,問題図形を図形モデルやテキストモデルとの照合により図形構造表現に交換するシステムを実現した。システムの制御は,テキスト構造に応じた複数個の機能モジュールの生成と起動ならびにメッセージ交換に基づく分散方式で行われる。 2.問題解決過程における対話のための文脈ならびに表現形式の定義 文脈を言語表現が使用され,評価される言語的・非言語的環境であると定義し,発話文の構造と発話意図,発話のおかれた状況(話し手,聞き手,場所,時,現場の事物),領域知識と話し手の注意状態をその構成要素とした。さらに,発話時点を1つの状態とする離散的な文脈の表現法を提案した。 3.対話に基づくドリルテキストの問題解決システムの実現 ドリルテキストの問題解決とは,テキストの格構造と図形構造表現および教師との対話から,問題解決ならびに解答合成に必要なコマンド系列(フレーム形式で表現)を組み立て,実行する過程であると考え,ワークステーション上で動作するPrologを用いてプロトタイプシステムを実現した。 (1)文脈情報に基づくシステムからの発話文の生成アルゴリズムを開発した。(問題解決過程の手続きの流れと発話意図の関連付け,省略・指示・提題などの修辞処理など) (2)文脈情報に基づく教師からの応答文の解析アルゴリズムを開発した。(応答文の発話意図および指示・省略要素の推定,文脈情報との対応付け,応答文からのコマンド候補の抽出など)
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