本研究の主な目的は、(1)広島大学に於いてX線観測データの解析システムを構築し、(2)Quiescent状態にあるX線新星のデータを解析の結果から低質量降着天体のX線輻射メカニズムを明らかにすること、であった。(1)に関しては、多少の問題点を残しているものの概ね達成することができた。(2)については、以下の事項を明らかにした。 (i)A0620-00は、他のブラックホールを含むX線新星のGS2000+25やGS1124-683と同様、X線のフラックスが非常に弱く、その上限値(<10^<31>erg/sec)しか求められなかった (ii)GS203+338では、この種の天体では例外的に約10^<31>(Dkpc/3kpc)^2erg/sec(0.5-10keV)のフラックスを検出した。 (iii)そのエネルギースペクトルは、photon-index〜2.1で近似できる比較的ハードなX線輻射であった。 (iv)7-10keVでのX線フラックスは約6×10^<31>(Dkpc/3kpc)_2erg/secであり、質量輸送不安定のトリガーとしては、小さすぎる これらについては平成7年秋の天文学会や、宇宙科学研究所で開催された"ラインX線・ガンマ線による天体物理"研究会で報告を行った。また現在、投稿準備中である。 また上述(1)が遂行できたことに関連して、ブラックホールを含むX線新星GS2000+25の"アウトバースト時"のデータ解析も並行して行った。この結果についてはPASJに投稿中である。
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