研究概要 |
平成7年度においては以下のことを主に行った。 1.^<100>Sn領域の陽子過剰核の性質。 ^<100>Sn領域での粒子相関を正確に記述するために軽い錫アイソトープの低い励起状態を(1d_<5/2>,0g_<7/2>,1d_<3/2>,0h_<11/2>,2s_<1/2>)^<N-50>配位で記述し、現在原子力研究所で進行中の^<104,105,106>Snの実験データとの予備的比較を行った。これらの核の低い励起状態がSDI+QQなどのempirical interactionで再現できること、数MeV領域の励起状態のデータから0h_<11/2>のsingle particle energyの決定されるなど、従来のあいまいさを次第になくしつつある。現在百木悟郎氏(日大生産工学部)の協力を得て進行中である。今後はZ,N<50領域での有効相互作用の研究と組み合わせて更に正確な詳細を明らかにする必要がある。 2.元素合成過程における軽い核における(α,n)反応の役割 ビッグバン直後に起こる元素生成の過程においてp殻核やsd殻核での不安定核が関与した(α,n)反応等による3核子移行反応の研究を行った。昨年度までに完成した穀模型計算コードでは1核子移行反応しか取り扱いが出来なかったが、平成7年度にはプログラムを改良し大次元の状態ベクトル間の1陽子2中性子または2陽子1中性子移行反応のSpectroscopic amplitudeの計算を可能とするプログラムを作成した。これにより従来行われていたSU_3模型等にもとづく近似計算に代わり、0hωの範囲でのフル計算による値を得ることが出来た。 具体的に計算を行った元素合成に関係する主な過程は以下の通りである。 ^8Li(α,n)^<11>B,^8B(α,p)^<11>C,^<24>Mg(α,p)^<27>Al 現在山本秦氏(都立大理学部)の協力により宇宙初期に想定される数十MeVでの3核子移行反応の断面積を計算中である。
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