研究概要 |
今年度の研究は'(1)I型超新星爆発にともなうp-元素合成'および(2)'中間子凝縮層をもつ中性子星の上限質量と最大角速度'である. (1)I型超新星爆発にともなうp-元素合成 重力崩壊型新星をおこすM>10M_<【of sun】>の星についての爆発のさいに酸素過剰層において起こるp-元素合成の計算を統計的に行っ結果p-元素のうち60%は合成されることがわかった。しかしMo, Rb同位元素の存在比は既存の大質量星のモデルでは説明できないとわかった.さらに太陽系のp-組成と比較するとp-元素の生産量はおよそ,'factor4'不足するという元素の起源にたいする深刻な問題を提起した. そこでI型新星のモデルを検討した.結果としてover-productionのパターンは大質量星の場合と似たパターンを得た.やはりMo,Rb同位元素に関しては太陽系組成比を説明できない.原子核反応率を検討する必要がある. (2)中間子凝縮層をもつ中性子星の最大質量と角速度 M>18M_<【of sun】>の重力崩壊型超新星はブラックホールを残すというシナリオが有力視されてきた.このためには状態方程式が高密度で極端にやわらかくなる必要があるが,中性子星の構造には重大な影響をおよぼす.そこで中間子凝縮層をもつ状態方程式をもちいて中性子星の上限質量と最大角速度を計算した.その結果,k中間子層をもつ場合最短周期として0.4ミリ秒,1.7M_<【of sun】>の重力質量をもつ中性子星が存在する可能性を得た.
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