研究課題/領域番号 |
07225203
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 功佳 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80221969)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 走査トンネル顕微鏡 / モアレ / ナノ構造 / 表面 / 界面 / 表面内部構造 |
研究概要 |
本年度は走査トンネル顕微鏡(STM)で表面内部が見えるメカニズムを明らかにした。その結果わかったことは、表面水平方向にナノ・スケールの大きさを持ったものはそれが表面内部かなり深くにあってもSTMで見えるということである。その原因は、ナノ・スケールの波は一般に表面内部を減衰することなく伝達する波であることと、多くの物質の仕事関数が4〜5eV程度であるために表面の外の真空領域における減衰の様子がG=0の波とほとんど同じであるためである。具体的な例として、モアレ像について、リカ-ジョン伝達行列法を用いた計算を行った結果、上記のことが確かめられた。さらに、界面の深さ依存性について数値計算を行ったところ表面層が6層程度の厚さであってもモアレ像が得られることがわかった。この結果は次のようにして解釈できる。すなわち、デルタ関数型ポテンシャルを用いた簡単な計算から、フェルミ・エネルギーでの局所状態密度のナノ・スケールの波の成分の大きさは金属の場合[sin(2k_Fl)-(2k_Fl)cos(2k_Fl)]/(2k_Fl)^2のように振る舞うことがわかる。ここで、lは表面層の厚さ、k_Fはフェルミ波数である。つまり、ナノ・スケールの波は振動しながら1/2k_Flで減衰する。数値計算で得られた結果はこの式で良く説明することができた。本研究によってSTMによって表面内部の情報がどのようにして得られるのかが明らかになり、このことにより、STMを表面内部の探索に用いるという新たな可能性が開けた。
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