研究概要 |
1.GaAs(100)微傾斜面上にガスソースMBE法によりサブモノレイヤー(0.3,0.5,0.7ML)のInAsを成長しSTM(走査トンネル顕微鏡)観察/STS(走査トンネル分光)測定を行ない、そこでのトンネル特性について調べた。GaAs領域、InAs領域でトンネル電流の立ち上がる電圧位置には大きな差は無かったが、電流の立ち上がり角は異なることが見い出された。そして、それらはモノレイヤー数には存在しないことを見い出し、III-V混晶半導体において原子レベルの個々の原子の識別の可能性のあることを明らかとした。 2.(100),(311),(411)の3種の面方位の異なるGaAs基板上にガスソースMBE法により、(Inp)n(Gap)m単周期超格子を成長した。透過電子顕微鏡(TEM)観察により、(100)面上では細線構造が、(311),(411)面上ではドット状構造が形成されることが明かとなった。その大きさは、10^〜20nmの周期の細線、または、10^〜20nmの周期の格子状に配置されたドットであり、このように自己形成された構造を利用すれば、密度の高い量子細線、量子ドット構造が形成可能であることが分かった。(100)面上に形成した細線構造に対してSTM観察を行ない、TEM像と同様の明暗の細線状の構造が観測された。更に、細線状構造の様々の位置で、STS測定を行ない、各場所でのバンドギャップエネルギーが求められた。その分布より自己形成された細線構造の組成変調の様子が分かり、この方法が混晶半導体ナノ構造におけるバンドギャップの分布の様子をナノメータレベルで観測、測定する手法として適していることを明らかとした。
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