研究課題/領域番号 |
07225211
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 卓也 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (50229556)
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研究分担者 |
川合 知二 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (20092546)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1995年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 走査トンネル顕微鏡 / レーザー励起 / 表面励起状態 / 励起電子トンネリング / 亜鉛フタロシアニン / コロネン |
研究概要 |
当研究所課題では、光照射下における励起キャリアのトンネル過程を調べることを目的としている。前年度までの研究で、光変調STM装置の開発を終えたので、本年度はこの手法を有機分子吸着系に適用し、吸着分子の分子軌道と励起キャリアの関係を中心に研究した。有機分子として、分子の形とHOMO-LUMOギャップが大きく異なる亜鉛フタロシアニンとコロネンを選び、基板としてシリコン単結晶(100)面の2×1再構成表面を用いた。コロネン分子と亜鉛フタロシアニン分子は、普通のSTM像では共に明るい像として観察される。ところが、レーザー光照射下におけるトンネル電流を検知することで、分子吸着状態における表面準位をより顕著に反映したSTM像が得られることが判った。STM測定における光照射の効果は表面光起電力と励起電子トンネルの2つが考えられる。表面光起電力はバイアス電圧と同じ効果を及ぼし、局所状態密度を反映した画像を与える。バイアス変調STM像と光変調STM像との比較から、励起電子トンネル電流が観測可能であることを明かにした。さらに異種分子について比較検討を行い、コロネン分子はHOMO-LUMO間の準位の開きが大きく、基板であるシリコン単結晶のバンドギャップより大きなギャップをもつ吸着電子状態を形成する。この場合、レーザー光により励起されたキャリアは分子軌道の影響を受けない。これに対して、亜鉛フタロシアニン分子は、HOMO-LUMO間のギャップが小さく、常に励起キャリアの再結合サイトとして働くことが判った。この結果は、励起キャリアのトンネル過程を通して、表面準位の微妙な差異を画像課できることを示している。
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