研究概要 |
水中爆発や海底・湖底火山噴火の規模や特性を評価するための指針を得ることをめざして,火薬玉(号砲)を爆発源とした水中爆破実験を行った. 実験では,(1)爆破水深,(2)爆点-観測点間距離を変えて爆破を行った.観測には,通常の火山観測で使用されている地震計,空振計に加えハイドロフォン,ビエゾ水中衝撃波計を水中に,またビデオを地上に設置した. 観測された水中音波は複雑な波形を示し,直達波の到着直後でさえ水面反射波と見られる位相の混入が認められた.直達波振幅については,理論値よりもかなり小さく,爆破水深や爆点-観測点間距離による違いは認められなかった.これに対して地震波の初動振幅は,頭打ちにはなるが,爆破水深にほぼ比例関係が認められた. 爆破水深が浅い場合には水柱(またはwater dome)が形成され,その高さは爆破水深に対して比例ないしべき関数的な減少傾向を示した.水柱が形成される場合には空気振動が観測され,その振幅は爆破水深に対してべき関数的に減少し,さらに周期もやや延び,水柱の形成が空気振動を励起していることが示唆された. 水柱音波振幅に発破深度や距離依存性が認められなかったことや地動振幅と水注音波振幅の不調和は,観測方法に起因していると考えられ,今後の実験方針を立てうるうえで問題点が明らかになった.また,湖底・海底噴火の時間スケールは未知だがこれらを対象とした火山観測に新たな問題が提起された.その一方で,水柱を伴う湖底・海底噴火に対しても空気振動観測が有効であることが示唆された.
|