研究概要 |
本年度においては1)単一高分子微粒子中における光反応制御,並びに2)油滴/水界面にける電子移動反応の制御とダイナミックス測定の観点から研究を行い以下の結果を得た。 1)単一高分子微粒子中における光反応:前年度の研究においてイオン交換樹脂への溶質の空間分布を律する因子を明らかにした。これを利用してロ-ダミンB(RhB)をマラカイトグリーン(MG)の間の励起エネルギー移動を単一樹脂内において制御できることを実験的に示した。即ち,樹脂内にRhBを均一に吸着あるいは表面層にのみ吸着させ,ここにMGを外部より導入することによりMGの樹脂内への拡散にともなってRhBからMGへの励起エネルギー移動効率が変化することを,その時間的変化をも併せて明らかにすることができた。 2)油滴/水界面にける電子移動反応:前年度に引き続き,レーザー捕捉・顕微分光・電気化学法を用いて界面電子移動反応の制御方式を明らかにすることを試みた。油滴内及び周囲の水相中の電解質濃度により油滴/水界面における電位を変化させた処,界面電位の正側への増大により電子移動速度が速くなることを実験的に明らかにした。界面電位と反応の自由エネルギー変化との対応から結果をMarcus論理により考察したところ、電位依存性を理論の枠内で説明できることを示された。
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