研究課題/領域番号 |
07228218
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
腰原 伸也 東京工業大学, 理学部, 助教授 (10192056)
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研究分担者 |
宮澤 貴士 理研, フォトダイナミクス研究センター, 研究員 (10241259)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 協力的相互作用 / 光誘起相転移 / 非線形光学 / 光反応制御 / 反応選択性 / 電子相関 / 電子-格子相互作用 / 多電子励起状態 |
研究概要 |
今年度我々は、物質自身によって生み出される「協力的相互作用場」が特に強いと期待される物質であるπ電子共役ポリマーポリジアセチレンにおける「光誘起相転移」のナノ秒ダイナミクスと、一次元分子の非線形光学を用いた光反応制御に関して集中的な研究を行った。 (1)π電子共役ポリマー結晶における光誘起構造相転移 ポリジアセチレン(PDA: =CR-C≡C-CR′=n; R,R′は側鎖基)は代表的な一次元π電子共役ポリマーである。我々は、このPDA結晶を相転移ヒステリシス内の温度に保持しながら光励起を行った。その結果、光励起によってこの相転移が発生すること、また1励起光子で約2-300モノマーユニットもの領域に相転移が発生する、つまり非常に高効率な光誘起構造変化(異性化)が「協力的相互作用場」の中では発生していることを明らかにした。さらに、相転移の初期過程は50ナノ秒以内で終了すること、ヒステリシス外の温度でも光励起によって発生した揺らぎがミリ秒近い長時間接続することも本研究によって明らかとなった。 (2)非線形光学過程を用いた一次元物質の光反応制御 シス-スチルベンは266nmの光で励起を行うと、トランス体への異性化と同時に環化反応をおこすことがよく知られている。我々は、シス-スチルベンを532nmのレーザー光で2光子励起すること、この2種の反応のうちで異性化過程のみが選択的に発生することを明らかにした。さらにシリコンオリゴマーであるジフェニルトリシランにおいても同様な反応選択性を見い出した。スチルベンさらにはポリエン類は、電子相関(クーロン相互作用)と電子-格子(振電)相互作用という2つの「協力的相互作用場」が重要な役割を担っている物質である。そして光異性化過程に、これらの相互作用に起因する多電子励起状態(2光子遷移許容状態:2^1A_gg)が重要な役割を果たしている。この多電子励起状態を利用すれば、光反応制御が可能であることが初めて明らかとなった。
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