【目的】スイカにおいて、システインと二次代謝性のβ-ピラゾールアラニンは一部共通の経路によって生合成される。セリンアセチル転移酵素によって生成する0-アセチルセリンはシステイン生合成系全体の正の調節物質と考えらており、本酵素の触媒的性質およびこの遺伝子の発現解析はシステインおよびβ-ピラゾールアラニン生合成系の統合的制御を理解する上で重要である。本研究では、セリンアセチル転移酵素遺伝子の発現制御機構を明らかにすることを目的とし、ゲノム遺伝子の単離と解析を行った。 【方法・結果】スイカ黄化発芽体より調整したゲノムDNAをSau3AIで部分消化後、λEMBL3ベクターアームに連結し27万クローンからなるスイカゲノムDNAライブラリーを作製した。スイカのセリンアセチル転移酵素cDNA[1]をプローブとしてスクリーニングを行った結果、7個の陽性クローンが得られた。サザン分析によるこれらのクローンの解析をもとにセリンアセチル転移酵素をコードしている領域をサブクローニングし、塩基配列を決定した。その結果、スイカセリンアセチル転移酵素遺伝子は3個のエキソンと2個のイントロンで構成されていた。セリンアセチル転移酵素はシステイン生合成系の制御因子になっていると考えられるため、低硫酸イオン条件下で栽培したスイカから調製したRNAを用いてノーザン分析を行ったところ発現量に大きな変化はみられなかった。
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