1、テトラヒメナに存在するリボザイムをもとに作成した、2分子から構成されるスプライシングシステムは、イントロンに分子内に存在するP5abcとよばれる小さな機能構造単位を単独に合成し、これをイントロンRNAのP5abcが欠落した本体(DP5abc intron;スプライシング機能をもつ)に、高次の分子間相互作用させることによりその機能を強く発現する。まず、このシステムを構成する要素について解析を行った。両RNAの解離・結合定数の測定をこころみた結果、2つのRNAは抗体と抗原の相互作用と同等の非常に安定な複合体を形成していることが明らかになった。 2、つぎに、2つのRNAが強い相互作用をするという性質を利用して、P5abcが、本体であるDP5abc intronと相互作用をする部位の同定を、試みた。その結果、P5abcの2次構造を特徴づける、3箇所のループ構造内に見られる12のアデノシンへの修飾が、阻害効果を強くもつことが明らかとなった。 3、この結果を参考に、つぎにP5abcが本体であるDP5abc intronとの相互作用を通じて、スプライシング機能の活性化に重要な役割を果たす構造単位の同定をおこなった。その結果、P5abcの2次構造を特徴づける3箇所のループ構造は、すべて機能発現の促進に有用であり、またその中でA-rich bulgeとよばれるものが最も重要であることが明らかとなった。 4、A-rich bulgeと相互作用する相手であるDP5abc intron内の残基を同定し、この相互作用が機能発現の促進にどのように貢献するのかを解明することをつぎの目的として、研究を進めている。
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