研究課題/領域番号 |
07230205
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮入 伸一 東北大学, 薬学部, 助教授 (50209855)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1995年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 16α-ヒドロキシエストロン / α-ヒドロキシイミン / 安定付加体 / ハインズ転位反応 / 加水分解反応 / 乳がん / 金属イオン / 希土類金属イオン |
研究概要 |
ヒトにおけるエストロゲンの主代謝産物の1つである16α-ヒドロキシエストロン(16α-OHE_1)は、タンパク質との安定付加体を形成することが知られており、それが乳がん発症に関与している可能性が示唆されている。その解明には、安定付加体形成の条件およびその制御因子の解明が重要と考えられる。我々は、先にこの安定付加体形成にはα-ヒドロキシイミンのHeyns転位反応が関与していることを明らかにした。そこで、今回この転位の反応条件を確かめると共に、生体内における16α-OHE_1-タンパク質安定付加体形成反応の制御に関する基礎的知見を得ることを目的として研究を行った。 16α-OHE_1と2-メトキシエチルアミンの縮合により生成するα-ヒドロキシイミン誘導体を反応中間体のモデル化合物として、まずその転位および加水分解反応に対する水素イオンの影響を検討し、転位反応の至適条件がpH6.2付近であることを明らかにした。次いで、種々金属イオン(希土類13種、その他15種)の影響を検討したところ、Pt^<4+>、Cu^<2+>、Ni^<2+>、Co^<2+>、Mn^<2+>が安定付加体の生成を抑制し、対照的に加水分解反応を促進することを確認した。さらに、その効果はPt^<4+>と組合わせるとき相乗的に増大することを認めた。一方、Fe^<3+>および希土類金属イオンの場合、前述の金属イオン5種と異なり全般にα-ヒドロキシイミンの加水分解および転位の両反応に促進的に作用(特にFe^<2+>、Y^<3+>、Gd^<3+>、Er^<3+>が)することを認めた。次いで、これら金属イオンの相互作用を検討したところ、Fe^<3+>とランタノイドイオンの組合わせでは安定付加体量のみの相加的増大を、またランタノイドイオン同士の組合わせでは加水分解成績体の生成量のみの増大を観察した。以上、生体内のエストロゲン-タンパク質安定付加体の形成量を、金属イオンにより人為的に制御し得る可能性を示唆する結果を得た。
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