研究概要 |
本研究では、(1)希土類イオンと遷移金属イオンを含む新しい複核、多核錯体の合成を目的とした。また、(2)多数の新しい多座配位子の合成を行い、それを含む混合配位子希土類錯体を合成してそれらの構造と希土類金属イオン種との相関関係を明らかにすることであった。具体的な物質としては、β-ジケトンとポリイミンを含むもので、一般式はLn(dike)_3(An)where Ln=lanthanide ion, dike=β-diketonate, An=bi-or tri-dentate ligand such as diamine(imine)or triamine(imine)。軽希土類、重希土類でこれらの混合配位子錯体の組成と構造がどのようの変化するかを明かにした。 結晶構造としては、[{Fe(CN)2(phen)2}2{YbC13(H2O)}2]で示される四核錯体が得られた。この錯体の特徴は、シアノ架橋配位による第一遷移金属と希土類イオンを含み、同一平面に4個の金属イオンが位置する興味あるものであった。さらに、用いた鉄錯体は、溶媒や物質の酸度に敏感に反応する特徴をもつため、希土類イオンのイオンサイズに応じてアルコール溶媒中で色変化を示す。言い替えれば希土類イオン半径が色で見分けられる可能性をもつ訳である。そのほか、トリイミン、ジケトナト、および硝酸イオンを含む四元系錯体も幾つか合成することが出来、現在構造解析を進めているところである。
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