研究課題/領域番号 |
07230239
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
田中 清明 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (00092560)
|
研究分担者 |
竹中 康之 北海道教育大学, 教育学部・函館校, 助教授 (60251609)
|
研究期間 (年度) |
1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1995年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
|
キーワード | X線回折法 / X線原子軌道解析法 / f-電子密度 / 近藤効果 |
研究概要 |
本研究で対称心のみを有する低対称場中の3d軌道を、遷移金属錯体、Cu(diazaoctane)_2(NO_3)_2中のCu^<2+>について求めることに成功し、X線回折法で求めた電子密度分布を、もっとも良く説明するように原子軌道関数を求める、X線原子軌道解析法を一般的に行うことができるようにした。さらに、X線原子軌道解析法の適用対象を希土類元素等を含む結晶広げるための研究も行った。その結果、従来注目されていなかった多重反射効果が、重原子結晶の精密解析においては、無視できないことを明らかにし、多重反射を避ける強度測定法を確立した。この方法を使用して、CeB_6結晶の回折X線強度を、165Kで精密測定したところ、4f電子による山を変形密度図上に見つけた。さらに相対論効果を考慮した原子軌道関数に基づいて、X線原子軌道解析を行ったところ、この山は、CeのT_<1u>軌道上の4f電子によることが明らかになった。これは、量子論モデルに基づいて、f-電子密度分布を、定量的に解析した世界で初めての例である(投稿中)。この研究の意義は、単にf-電子密度が測定・解析されたにとどまらない。X線回折法では全電子密度分布が測定されるので、理論と実験とのもっとも大きな不一致を示す、希土類元素周辺の電子密度分布が説明されると、結晶中の他の軽元素周辺の電子密度の信頼性が飛躍的に向上する。希土類元素を含む高温超伝導体のCuやO原子周辺の電子密度解析による、超電導機構の研究も射程内に入ってきた。さらに、電子密度分布の温度変化より、CeB_6の近藤効果の原因を明らかにするため、100K、230K、298Kで強度測定を行いX線原子軌道解析を行っている。PtP_2,NiPP_2についても、同様なX線原子軌道解析を行い、各5dおよび3d軌道関数を決定した(投稿準備中)。今後、YbRh_3BやEu錯体等も研究の対象にして、希土類錯体の電子密度解析手法を一般化し完成する。
|