研究概要 |
1.電場を用いた拡散係数の算出による、水の配位数の算定(I)と電場を用いた効果的な分離(II)の二方法を希土類イオンについて行った。 2.希土類イオンの溶媒中での存在状態を拡散係数より求めることを試みた。 溶存状態での分子量Mと相互拡散係数(D_<1,2>)の関係が認められ、相互拡散係数の迅速な測定は見かけの分子量の推定に有用である。希土類イオンの物性へのアプローチとして相互拡散係数の測定法を開発し、この手法の希土類イオンへの適用を試みた。開発した手法はア-ウの特徴を持つ。(ア)迅速な拡散係数の測定が可能(イ)極微量試料で測定が可能(ウ)媒体系の選択が容易である。測定装置は溶融シリカキャピラリー、紫外・可視検出器、高電圧電源、リザーバーより成る。試料(3.6nL)を導入後、電圧印加により発生した電気浸透流により繰り返し試料ゾーンのプロファイルを記録する。測定より、0.1M K C1を含んだ0.03N HC1中のCe^<3+>の拡散係数(D_<1,2>)8.46x10^<-6>cm^2/secが得られた これを用いてCe^<3+>の見かけ上のH_2Oの配位数を求めたところ、22個の値が得られた。 3.電気クロマトグラフィーによる希土類イオンの分離は電場の効果が効果的に現れる。これの典型的なクロマトグラムが得られた。希土類の陽イオン交換樹脂による分離では重い元素から溶出し、反対にキャピラリー電気泳動では軽い元素から溶出する。電気クロマトグラフィーでは陽イオン交換樹脂を用いているので電場により保持の長い元素を短い保持時間で溶出できる。また、このクロマトグラムより各元素の見かけの電気移動度が算出できた。また見かけの電気移動度は印加電圧に依存していることがわかった。 4.新たに工夫した手法により極微量試料を用いた非常に希釈な溶液状態での希土類イオンの媒体中での希土類イオンの状態について推測を行うことができた。
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