研究概要 |
培養ヒト細胞のコロニー形成能を指標として、希土類元素による致死作用高を解析する。横軸に希土類元素の濃度、縦軸に生残率を対数的にプロットすることによって得られる生残率曲線の形は元素によって大いに異なる。大別すると、Ce(III), Ce(IV), Gdの様に指数関数的に致死をもたらすものと低濃度でむしろ非処理細胞よりも高い生残率をもたらすことによって指数関数に従わないその他多くの希土類元素のタイプがある。指数関数的な致死は放射線等による細胞の致死と同様、細胞内に存在する標的分子が希土類元素の作用によって不活化されることに基づいて生起すると仮定し、標的分子と標的量とを明らかにしようと考えた。そのために、Ce(III)によって処理された細胞からDNA, RNA,タンパク質分画を抽出し、放射化分析法を用いて分画中のCeを定量した。生残率曲線から得たヒラ細胞の平均致死濃度(Do)は6.75mMとなり、この濃度で処理された一細胞中のDNA, RNA,タンパク質分画中のCe量は3.39x10^9,9.68x^8,2.20x10^4原子数となる。或る分子を標的と仮定した時に、これだけのCeが結合することによって、細胞死が引き起こされことになる。ヒラ細胞の含むこれら生態高分子の量は既知であり、従って、それぞれの構成要素数も解っているので、これを先に値で除することにより、容易に標的量(Ceによる致死効率)を求めることが出来る。即ち、DNAでは10.2,RNAでは50.7ヌクレオチド、一方、蛋白質では2.2X10^4アミノ酸となった。 現在、この方法を用いて、他の希土類各元素についても同様な検索を進めつつある。
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