研究概要 |
ジメチルホルムアミド(DMF)-ジメチルアセトアミド(DMA)非水混合溶媒中で、一連のランタノイド金属イオンの溶媒和錯体の配位構造をEXAFSにより決定し、溶媒組成と構造パラメータ(結合距離と配位数)の相関を調べた。純溶媒の場合に、DMFをDMAにかえると、金属イオンが溶媒和する際に発生する立体効果によってランタノイドイオンの配位数は1減少する。本研究では、立体障害を引き起こすDMAが、DMF-DMA混合溶媒中で、DMA分率の上昇とともにどのように金属イオンに配位していくのか、また、そのとき配位構造はどのように変化するのかについて、イオン半径のことなるNd^<3+>, Gd^<3+>, Tm^<3+>, Yb^<3+>を用いて比較検討した。混合溶液中のY^<3+>イオンの溶媒和に関して、^<89>Y NMRによれば、DMAの立体障害にもかかわらず、DMA分率の上昇とともにDMAは金属イオンに配位することを示している。一方、EXAFSの結果によれば、イオン半径の大きなNd^<3+>は、DMA分率αがα<0.85では配位数に変化がなく、それ以上になると急激に配位数の低下がおこる。一方、イオン半径の小さなTm^<3+>では、0.2<α<0.8の範囲で配位数の低下がおこり、混合溶媒中での配位数変化は金属イオンの特性が非常に顕著に現れることが見いだされた。遷移金属イオンに関しては、このような結果は得られていない。ランタノイドのようなハードで高い配位数を有する金属イオンの場合、立体効果は金属イオンのイオン半径の違いに強く影響されることが判明した。
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