研究課題/領域番号 |
07230274
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
伊藤 伸一 鹿児島大学, 工学部, 助手 (40264452)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 希土類 / 多重項 / 分子軌道計算 / 結晶場分裂 |
研究概要 |
本研究は、半導体(GaAs)中にドープされた希土類原子(Er)の発光メカニズムの解明を目的とした。発光は、4f電子の殻内多重項間遷移による。本研究では発光に関する4f電子の多重項を求め、実験値との比較を行なった。方法は非相対論的第一原理分子軌道法を用いた。GaAs中の酸素の影響について考察するため、モデルクラスターとして正四面体型(ErO_4)^<5->,(ErAs_4)^<3+>を考え、SCF-CI計算により一電子エネルギー及び多重項を求めた。その結果、2つのクラスターにおいて4f軌道の結晶場分裂の大きさは、(ErO_4)^<5->が0.04(eV)、(ErAs_4)^<3+>が0.22(eV)であった。これはイオン結合性と、共有結合性による4f軌道と結晶場との化学結合の違いによるものである。このことは、4f軌道と結晶場の価電子の軌道エネルギーの差が、(ErO_4)^<5->で53.7(eV)、(ErAs_4)^<3+>で24.7(eV)とイオン性結合がより大きなエネルギーギャップを示すことにも現れている。多重項分裂の大きさについても、同じ傾向が見られ、(ErO_4)^<5->における多重項分裂のエネルギー(90cm^<-1>)は、酸素ドープ時のスペクトルに現れる小さな結晶場分裂(70〜80cm^<-1>)に近い値である。(ErAs_4)^<3+>の結晶場分裂は、570(cm^<-1>)である。これは共有結合性の強さによると考えられる。 以上のことから、酸素によりイオン結合性が強まり、4f軌道の結晶場分裂が小さくなることが分かった。これは、実験事実と同じ傾向である。半導体中においても、酸素はErの近傍に存在すると推察される。
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