研究課題/領域番号 |
07231219
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
矢野 重信 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60011186)
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研究分担者 |
加藤 昌子 奈良女子大学, 理学部, 助手 (80214401)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 分子識別 / インテリジェント錯体 / インディウスド フィット |
研究概要 |
本研究では、配糖錯体のの配位環境の制御により、分子識別及び基質特異的化学変換を促進する酸素モデルと成り得るような新しい反応場を構築することを目的としている。今回は、アミンとして分枝状のテトラミンであるトリス(2-アミノエチル)アミン;trenを用いることにより糖部分を強制的に接近させてCage Complexのように金属まわりを取り囲んだCo(II)の配糖錯体の分子設計を目指して、一連のCo(II)の配糖錯体の合成を行い、それらの立体構造をX線結晶構造解析により解明するとともに、配糖錯体の溶液内挙動を詳細に検討した。[Co((L-Rha)_3-tren)]Br_2・2CH_3OH (1)と[Co((L-Rha)_3-tren)]SO_4・3H_2O・CH_3OH(2)のX線結晶構造解析により、それぞれ7配位のΛ-λ_3(ob_3)構造と△-λ_3(le1_3)構造をとっていることが分かった。特に(2)のX線結晶構造解析より、錯イオンは硫酸イオンを取り込んだ特異な構造を取っていることが分かった。この結果、対イオンの違いによる錯イオンの構造変換が示唆された。また、この構造変換がCDスペクトルのコットン効果の反転という現象に顕著に現われることから、その溶液内の挙動を静電イオン会合理論に基づいて詳細に検討した。その結果、錯イオンと硫酸イオンとの最近接距離として〜5Aという値が得られ、溶液内においてもイオン対を形成する際に硫酸イオンが錯イオンに接近し、(2)のX線結晶構造解析の結果と良く対応していることが分かった。すなわちハロゲン化物の構造に対しては分子内水素結合を有するΛ-λ_3(ob_3)構造をとっているが、硫酸イオンの接近によりこの水素結合が切断され、より安定な構造への分子自身が変換したためと思われる。この現象は、基質を認識しながらダイナミックに自身の構造を変える酵素系におけるinduced fitの最も基本的なモデルと見なされ、今後の展開が期待される。
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