研究概要 |
1.臭素,臭化水素が有毒・腐食性物質であるので専用のドラフトチャンバー内で溶解度が測定出来るよう装置を組み立てた。前年度の経験に基づき経路・バルブは出来るだけテフロンに変えて装置を組み立てた。このため溶解度の測定は一段と容易・正確になった。溶解度の測定は混濁点を目で観察,組成は容量法で決定する。この装置は通常の透明な物質の混濁点の識別は容易で文献値とよく一致した。しかしながら,臭素は褐色の不透明の液体であり,水に殆ど溶けない液であるが,水リッチ相でもかなり濃い褐色を示し、混濁点の確認には非常に注意を要する。 2.臭素-水2成分系および,臭素-臭化水素-水3成分系の溶解度を混濁点法を用いて20℃で測定した。測定結果は,2成分系では文献値とほぼ一致した。3成分系の溶解度の文献値は小さな図のみであるので直接比較することは出来ないが,2成分系の結果から考えて3成分系もほぼよいデータが得られたものと考えられる。テフロン部品による微小な漏れの問題が解決していないので,正確な圧力測定が困難で,液液平衡(タイライン)の測定は,装置を更に検討・改良して,精度のよいデータを蓄積することが次年度の予定である。 3.臭化水素-水2成分系の気液平衡が,通常の気液液平衡と大きく異なっているため,正確な計算が困難であった。したがって,3成分系の推算は出来たが誤差の大きいものとなった。2成分系の計算を電解質を考慮した活量係数式でさらに検討する。次により高温までの外挿を可能にするため,状態方程式で相関・推算を行う必要がある。 4.平衡物性(溶解度,気液平衡等)と輸送物性(粘度)の相関性についても検討する。
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