研究課題/領域番号 |
07235215
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
乾 智行 京都大学, 工学研究科, 教授 (60025989)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1995年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 高速水素合成 / ロジウム修飾Ni系触媒 / メタンの低温改善 / ミリ-秒接触 / スピルオーバー効果 / 触媒燃焼 / オンサイト熱供給 / 工場廃熱利用 |
研究概要 |
水素は、軽質飽和炭化水素の水蒸気改質により工業的に生産されているが、あえてシンタリングさせて粒径を大きくして耐熱性を付与した形のNiを、表面積の小さいセラミックス製担体に担持した触媒により、900℃付近の高温で反応操作されている。しかし、この高温域では、炭化水素の接触分解による触媒表面上への炭素の析出が避けられないので、これを少しでも防御するため、反応量論よりも過剰の水が反応ガス中に加えられ、エネルギーの負荷が大きい。そこで本研究では、天然ガスをCO、H_2O、O_2のいずれかあるいはそれを組み合わせて用いて、工場廃熱が利用できるような数百℃の低温域で、接触時間がミリ秒域の超高速流通条件下でメタンを選択的にH_2とCOに改善するための、コ-ク析出を伴わない高活性な新触媒と、それに適合する触媒反応器方式の開発を目的としている。 すでに前年度までに、セラミック不織布板状成型担体に担持したRh修飾Ni-Ce_2O_3-Pt触媒が、上記の目的に適う極めて高活性な触媒であることを見い出した。しかし、反応速度を上げるとその大きな吸熱のため、反応管外壁からの熱供給が追いつかなくなること、ならびに反応の平衡の制約があるため、400℃付近の低温域ではメタンの転化率は僅かに10%程度に抑えられるという問題が残されていた。そこで、反応系に、メタンよりも燃焼し易く天然ガスに含まれているエタンを添加して触媒燃焼を低温域から生起させ、この触媒表面上でのオンサイト熱供給によって、400℃という低い炉温でもメタンを改質反応の平衡値をはるかに超越する70%以上の転化率で改質させることができた。また、この触媒をハニカム充填方式として、大流速下でも背圧を排除し、接触時間が実に3.29ミリ秒という超高流速下に、炉温700℃では水素空時収量11,150mol/l・hという空前の高速合成を実現した。今後、この触媒反応器方式にもエタンの燃焼を併発させて、さらに高速の水素合成を確認し、エタンやプロパンを含む天然ガスに対しても適用を拡げる計画である。
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