研究概要 |
プロトポルフィン色素を取り込んだミオグロビンを試料としてフォトンエコーの測定を行い,その温度変化から,10Kを境として高温部では,電子・フォノン相互作用が主であり,低温部では電子・トンネリング準位相互作用が主であることを指適してきた。特に,低温部で,非マルコフ緩和が観測されることは,この相互作用の違いを示すものと解釈している。今回,異なる色素(メソポルフィン)をミオグロビンに取り込ませ,同じような振舞が再現するかどうかの実験を行った。特に非マルコフ緩和の観測に主眼を置いた。その結果,10K以下で非指数関数的減衰(非マルコフ)が観測された。このことから,非マルコフ性の原因が,ミオグロビン本体にあることが明らかになった。非マルコフ性が現われることから,この系では電子に揺らぎを与えるトンネリング準位の状態密度のエネルギー分布が比較的狭いことが考えられる。
|