研究概要 |
「空間を同じ体積の領域に分割する方法で,境界の面積が最小なもの何か?」という問題は古くから研究されていたが,最近,計算機による探索の結果,より小さな境界の面積をもつ解が見いだされた.これがこの問題の解であるという理論的証明も実験的検証もなされていないが,解は,泡構造の中に存在すると考えられている. そこで本研究では,市販のポリウレタンフォームを用い,NMRイメージングにより泡の三次元構造を計測した.そして,三次元NMR画像から泡多面体の三次元的形状を抽出する手法を開発し,取得した画像から,8個の泡多面体を抽出した.抽出された多面体の体積はほぼ一様で,12-15面体のみが観測され,その面としては,4-6角形のみが観測された.本実験の結果は,過去に行われた石鹸の泡を用いた実験と定性的によく一致しているが,計算機により見いだされた解とは一致していない.しかし,表面積がいかに小さくなっているかという指数(r=36πv^2/A^3)は,実験では初めて計測されたものであり,この問題の解決に対する有力な実験的手法が,本研究で初めて得られたものと結論した.
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