研究概要 |
液体金属の表面に1V/Åオーダーの強電界をかけると,液相からクラスターイオンが直接生成される.液体金属イオン源を用いることにより,このような強電界を実現できる.本研究は,このイオン源から放出されるクラスターイオンを質量分析し,液体における密度揺らぎ,液体の組成,構造に関する知見を得ることを目的とする.本年度はアルカリ金属(Li,Na)に関して以下の成果が得られた. 1.LiおよびNaの元素金属LMISからのクラスター ナトリウムクラスターイオンNa_n^+の強度はサイズと共に単調に減少するのではなく,n=3,5,11,13および19に極大あるいはステップが観察された.このような特異なイオン強度を示すサイズをマジック数と呼ぶ.Li_n^+の場合にはn=3,7,9,13および19がマジック数である.液相から直接放出されたクラスターイオンのマジック数は電子殻モデルだけでは十分に説明でず,クラスター生成の運動学がアバンダンススペクトルに反映していることが分かった. 2.Li-Na合金LMISからのクラスター Li-Na液体合金は,バルクにおいては相分離かhomocoordinationの傾向を示すが,Li-Na合金LMISから放出されたクラスターには種々のheteronuclearクラスターLi_xNa_y^+が豊富に含まれていた.クラスターの組成分布の解析から,(1)Li側に濃度が偏り,(2)heteronuclearクラスターの生成が好まれことが分かった.
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