2次元において1万粒子のMDシミュレーションを行いました。現時点では、ガラス状態(Γeff=1.4)で1万τ、それ以外の温度(Γeff=1.2〜1.38まで0.02刻み)では500τまでのデータを用いて解析しました。 ジャンプ運動の定義は、3つの時間の座標により平均化した座標を求め、平均座標の変位が12τの時間以内に0.78σを越えた場合にジャンプ運動とします。また、1原子の連続ジャンプ運動は少ないと考え、1回のジャンプ運動の後12τはジャンプ運動を無視することにしました。そのため、液体でのジャンプ運動は1桁以上小さくなります。 ガラス状態で1τから1000τまでのデータを利用した場合のジャンプ運動の回数が、他の時間のデータより大きくなっていることが偶然見いだされました。これは2万stepsのアニーリング過程を能勢の方法で行った直後のデータであるため、緩和が後の時刻より急速に進行していると考えられます。原子の平均自乗変位でもこのデータを用いた拡散係数が特に大きくなっているため、ジャンプ運動の定義(α緩和の原因、拡散現象と関係する)やプログラミングに間違いがないと言えます。 一方、粒子の直線的な相関変位を各粒子について定義式に従い計算し、その係数の値が大きな粒子から3000粒子と小さい粒子から3000粒子をそれぞれ強相関と弱相関と表して、その間の4000粒子を中間相関と表すことにします。そう定義するとジャンプ運動が相関変位と無関係ならば、ジャンプ運動の3割が強相関、4割が中間相関、残りの3割が弱相関となるべきです。液体状態ではこの比率となり、無関係であることが判りました。 液体、過冷却液体、ガラスと設定温度が低くなると、ジャンプ運動と相関変位係数との関連性が強くなっていることが判りました。ガラスでは拡散に寄与するジャンプ運動の多くが、強い相関変位を示す領域で発生しています。
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