研究概要 |
天然においてある元素の同位体比の変動をおこす原因は,主に次の2つの過程がある:(1)放射性元素の壊変,(2)熱による同位体分別.これらの現象は,地球科学分野の研究において,それぞれ,年代測定や古気温(古水温)の決定に応用されている.しかしながら,従来の質量分析法では,最新の二次イオン質量分析法(SIMS)を用いたとしても数十ミクロンの平均的な領域の値を測定できるにすぎなかった.最近,本研究代表者を中心とするグループでSIMSの発展型である同位体顕微鏡の開発を行った.今年度はイオン顕微鏡型SIMSに同位体分析の定量性を付加する新しいタイプの二次元イオン検出器を試作した.この検出器には我々が開発した固体素子を使用した.以下に具体的内容を示す. 1.同位体顕微鏡システムの目といえる二次元イオン撮像素子(以後AMIと呼ぶ)を用いた二次元イオン検出装置の調整を行った. 2.AMIのイオン粒子に対する基礎的特性の評価を行った. 3.本装置を縞縞解析に適用ための,ジルコンのサンプルを同位体顕微鏡で検鏡できるように加工した. 4.測定するジルコンサンプルはその拡散プロファイルを解析することにより地殻の上昇過程とジルコンのリサイクル過程の定量化の両方を解析した.
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