研究概要 |
太古代の緑色岩の付加体の実態を,西オーストラリア,ピルバラ地塊東部のマ-ブルバ-地域を例として研究した.同地域の地質は変成した玄武岩,遠洋性堆積物のチャート,それの少量の陸源性堆積物から構成される.それに島弧性の安山岩類が算出する.従来これらは全てが同一の場で噴出,堆積したものと考えられいたが,再検討の結果,最下部に玄武岩類,その上部に堆積物が重なり,それが断層によって繰り返すことが明らかとなった.これは基本的には玄武岩類が卓越する付加体と考えられるものであり,岩相の量比はことなるものの現在陸上部の多くの造山帯で見られる付加体と同じものとみられる.また玄武岩類は同時にコマチアイトとともに産出し,その産状は海洋地域において幾度も活動したプレート内部火山活動の様子を呈しており,プルームの活動が活発であったことを予想させるものである.また,チャートなどの堆積物はほとんどが熱水性の堆積物であり,熱水循環が極めて深部まで活発であったと見られることが明らかとなった. 太古代のマ-ブルバ-地域の岩石サンプルは野外識別された地質の違いによって分類整理した.重点領域参加者によって精力的に研究されるデータベースとなっている. これら太古代の付加体は現生のものにおいては付加した海台と考えられるものと酷似した地質を示している. 太古代の付加体と類似する付加した海台を検討するめに,日本列島の中で最も明瞭な北海道中央部の前期白亜紀付加体を調査比較した.その結果,下部玄武岩を貫く新期玄武岩(海台)が存在する実態が明らかにとなり,太古代の玄武岩,コマチアイトの地質にみられるプレート内部火山活動と同じ現象が観察された.
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