研究課題/領域番号 |
07239207
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
水野 哲孝 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (50181904)
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研究分担者 |
工藤 徹一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90205097)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1995年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | ポリ酸 / 金属窒化物 / 過酸化水素 |
研究概要 |
窒化モリブデンと過酸化水素との反応により得られる過酸化ポリ酸のXRDパターンはこの物質が非晶質であることを示していた。過マンガン酸カリウム滴定により求めた試料のペロキソ酸素の量は、Mo原子あたりほぼ1であった。また、生成時のpH変化量より求めた試料中のプロトン量はMo1当たり0.15となった。 次に合成した化合物に含まれる窒素の^<14>N NMRは-830から3250ppmの範囲で、20.8および377.5ppmに2本のシグナルが観測された(液体アンモニア基準)。20.8および377.5ppmのシグナルは、それぞれNH_4^+、NO_3^-に帰属される。NH_4^+、NO_3^-のシグナルの面積強度比は1.3:1であった。 試料のXPSスペクトル中には、約402eVにNH4_+に帰属されるシグナルがショルダーとして観測された。なお、NO_3^-のシグナルは、Mo3p1/2のサテライトピーク(約406eV)と重なっていた。従って、XPSの結果も化合物中の窒素がNH_4^+、NO_3^-の形で存在するという前述の結果を支持している。また、IRやラマンスペクトルもこの考えを支持していた。以上より、試料に含まれる窒素はNH_4^-とNO_3^-として存在していることが明らかとなった。 次に試料の分子量を検討するためにpositive ion TOF massを測定した。m/e=1486に強いシャープなピークが観測された。元素分析の結果も考慮すると、TOF massの結果は得られた試料分子にはMoが8原子含まれていることを示している。これは、合成条件下のpH2.0では、Moが8原子縮合したペロキソポリ酸が生成しやすい報告とも一致している。従って、窒化モリブデンと過酸化水素との反応により得られた試料の分子式はH_<7.7>(NH_4)_<1.7>Mo_8O_<19>(O_2)_<9.0>(NO_3)_<1.4>・12H_2Oであると推定される。 試料の熱安定性をTG熱分解質量分析及びIRにより測定した。試料中に含まれる水は約150℃までに脱離すること、NH_4^+やNO_3^-はより高い温度まで存在し、240℃で完全に脱離すること、さらに温度を上げると320℃でMoO_3が生成しはじめること、が明らかとなった。
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