研究概要 |
固体酸化物燃料電池の空気極材料の高温の相安定性の解明と,その結果をもとに材料設計の指針の確立を目的として,ペロブスカイト型結晶構造のランタン-ストロンチウム-マンガン系酸化物(La_1-_xSr_x)MnO_3の高温,かつ酸素圧の異なる雰囲気中にて安定な結晶構造と格子定数の温度依存性と酸素不定比性について研究した. 実験方法として高温X線回折による結晶構造と不安比性の測定を行った.X線回折は温度と酸素圧の関数として結晶構造と格子定数を調べた.不定比性は精密熱天秤とクーロン滴定を用いて測定した.試料にはストロンチウム含有量の異なるランタン・マンガン酸化物(x=0,0.1,0.3)を用いた.実験は、温度(室温〜1,000℃)と酸素圧(1-10^<-25>atmO_2)を変えて行った. 高温X線回折の結果から,(La_1-_xSr_x)MnO_3の基本構造は温度,酸素圧に関係なく菱面体晶であるが,LaMnO_3では700℃以下,p(O_2)<10^<-15>atmでは斜方晶になり,Sr=0.3の酸化物では900℃以上にて立方晶になる.X線回折の結果から温度-酸素圧-結晶構造の状態図を作成した.格子定数は温度の上昇,ストロンチウム量の増加によって大きくなるが,酸素圧が変わっても格子定数-温度曲線の形は変わらない.格子定数の温度変化から求めた熱膨張率はほぼ12x10^<-6>℃^<-1>であり,酸素圧,ストロンチウム含有量が変わっても熱膨張率はほとんど変わらない.不定比性は,Sr=0,0.2の酸化物はともにp(O_2)>10^<-15>atmO_2では0/M>3の酸素過剰組成であり,10^<-5>>p(O_2)>10^<-15>atmO_2では定比組成,P(O_2)>10^<-15>atmO_2ではO/M<3の酸素不足の組成になる.固体酸化物燃料電池の運転条件下での安定性について検討を行い,材料選択の条件を明らかにした.
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