研究概要 |
(1)レーザー照射によって結晶表面近くに多くのフレンケル欠陥が誘起される可能な機構について調べた。レーザー光は局在イオンに直接作用するのではなく,先ず電子-正孔対もしくはエキシトンを作ることに作用し,それらの機構を通じてエネルギーが光からイオン系に輸送され,局在状態から非局在状態に転換する。電場の大きさがE〜10^5V/cm程度の光照射の下でこれらの効果は観測可能であろう。 (2)超イオン相転移の発現機構について微視的に調べた。ハロゲンのp電子と金属のd電子のエネルギーレベルの接近していることが結晶ポテンシャルの他に新たに局在ポテンシャルを形成するための必須条件である。転移に伴う配位数変化はこの新しい局在ミニマムを絶対的なものにするためのイオン占拠の再配置と考えられる。 (3)イオンプラズマ・モデルの巨視的見地から,陽イオンの超イオン導電体で観測されている低励起モードの温度依存性,圧力依存性を調べ,温度依存性に関しては実験を定性的に説明した。次に微視的見地から,Hubbard-Beeby理論を格子イオンと可動イオンの2成分系に拡張して,超イオン導電体の集団モードを計算した。Ag_2SのX線の実験データを用いて振動数を計算すると3.5meVの値が得られ,低励起モードの観測値に近いものであった。
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