研究概要 |
高温型プロトン伝導体として有望視されている添加物入りペロブスカイト型およびパイロクロア型酸化物の局所構造を放射光を用いたEXAFS解析によって調べ、以下の結果を得た。1)La_2(Zr_<1-x>Y_x)_2O_7パイロクロア型酸化物の局所構造解析:パイロクロア型酸化物の場合は,元々,母構造のZrの周りに酸素空孔が存在している為,Yを10%添加してもZrの周りの酸素および陽イオンの配置にはほとんど影響が無く,添加物入り安定化ジルコニアの場合と異なり,主としてイオン半径の大きい3価の添加物Yイオンの周りに酸素が集っていることを示唆している。2)Sr(Ce_<1-x>Yb_x)O_3ペロブスカイト型酸化物の局所構造解析:Sr(Ce_<1-x>Yb_x)O_3中の酸素空孔は,Sr(Zr,Yb)O_3と異なり,CeとYbの両方の原子の周りに平均的に分布しているように考えられる。このことが,Sr(Ce_<1-x>Yb_x)O_3の方がSr(Zr,Yb)O_3よりもイオン伝導率が高いことと関係しているのであろう。3)Ba(Ce_<1-x>Y_x)O_3ペロブスカイト型酸化物の局所構造解析:イオン伝導率が最大の時(Y添加量が約10%の時)に,Ba-OとBa-(Ce_1Y)原子間距離が最小で,Y-O原子間距離が最大であった。このことは,Ba(Ce_<1-x>Y_x)O_3も場合も,Sr(Ce_<1-x>Yb_x)O_3と同様に酸素(空孔)がCeとYの周りに均一に分布しているものとすると,添加量が10%のときにY(Ce)の周りの酸素が一番動きやすくなっており,イオン伝導率が最大になっているものと考えられる。
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