研究概要 |
1 全固体型リチウム二次電池用Li^+イオン伝導体 電解質塩としてLiClO_4またはLiBF_4を分散含有したポリエチレンオキシド-グラフト-ポリメタクリレート(PEO-PMMA)複合体を作製した。電解質塩の溶解度と複合体の柔軟性を確保するために,複合体に低分子量可塑剤を含有させた。室温で10^<-3>Scm^<-1>のイオン伝導度を得た。この複合体に,環状ポリエーテルの一種であるクラウンエーテル(12-crown-4,15-crown-5)を添加することにより,イオン伝導度はほとんど変わらないものの,複合体中のLi^+イオン移動度を向上させることができた。すなわち,Li^+イオン輸率における改善効果が得られ,これによりリチウム電極/ポリマー固体電解質界面の特性を改善することができた。 2 固体電解質電気二重層キャパシタ用イオン伝導体 レドックス活性多価カチオンの一種であるCe^<3+>を含有したPEO-PMMA複合体を作製し,そのイオン伝導度挙動を調査した。ポリマーマトリックスの最適化をはかり,室温で10^<-4>Scm^<-1>のイオン伝導度を得た。また,アルキルアンモニウム塩を高濃度で分散したポリアクリロニトリル(PAN)ゲル薄膜を作製した。組成と伝導度の関係を調べ,(C_2H_5)_4NBF_4を含む電解質において,室温で10^<-3>〜10^<-4>Scm^<-1>のイオン伝導度を得た。これら複合体における各イオンの移動挙動を明らかにした。活性炭電極を用いたモデルキャパシタを構成し,ゲル複合体が高容量の電気二重層キャパシタの電解質として適用可能であることを明らかにした。
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